膚(はだえ)の下(神林長平、早川書房)

カテゴリ:小説

月戦争の影響で死の星と化した地球。生き残った人々は、全人類を冬眠状態にして火星へ移送し、機械人と人造人間―アートルーパー―に地球環境を再構築させ、250年後に帰還する計画を開始。しかし人類の一部には、地球に残留したままでも地球の復興は可能で、そうするべきだとする集団も存在した。そうした集団の強制保護活動に借り出されたアートルーパーたち。そのひとり、人間に最も近い仕様のエリファレットモデルである慧慈(ケイジ)は、アートルーパー訓練教育部隊指揮官、間明(マギラ)少佐から、一つの問いを投げかけられる。

『われわれはお前たちを創った。お前たちは何を創るのか?』

「生きる」とはどういうことか。自然とはなにか。神とは何者なのか。「創造」するとは?読んでいる間中ずっと、「私はこうする。お前はどうなんだ」と問われているようで、実際ひとつ、身につまされるくだりがありました。恥ずかしいからどこかは書きません。

しかし、こんな作品を生み出せるのは、世界広しと言えど、神林長平ぐらいではないでしょうか。宗教的に中立で、しかし根底にはアニミズムや仏教思想が根を張っている、ここ日本だから生まれた作品だとも言えるでしょう。こういう作家が存在する時代、国に生まれてよかったと、真に思います。

この作品を読む人の魂に安らぎあれ。

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